第3章 入院生活(1)(入院1日目)

第3章 入院生活

あれやこれやと入念に準備したつもりではありましたが、常に「あれも用意しておいた方が良いかな?」「もっとこうした方が良いかな?」などの思いが付きまといました。

そんな中、とうとうやって来た、入院当日。
翌日に手術を控え、緊張しつつも病院へ向かいます。

いざ、病院へ

最後のリュープリン注射(6回目)となった10月に、

  • 9月に受けた術前検査の、結果の説明
  • 手術内容についての詳しい説明
  • 麻酔科の先生からの、麻酔内容についての説明

があって以降、入院までの20日間近くは、特に追加の検査などはありませんでした(術前検査や、結果の説明については、詳しくはこちら)。

あまりにもあっけなく手術の日がやって来るので、帰る前に思わず先生に質問してしまいました。

私

次にここへ来る時は、もう入院当日なんですね・・。
手術までに、何かやっておくべきことはありますか?

先生
先生

風邪をひかないこと、くらいですかね。

相変わらず、シンプルな回答です(笑)。

確かに、手術までに体調を崩してしまったり、土壇場で新型コロナウイルスにかかってしまう、などという事態になったら、目も当てられません。

手術前にしっかり説明を受けたおかげで、手術や麻酔そのものに対しての恐怖や不安は、まったくと言ってよいほどありませんでした。
が、この時のもっとも大きな不安と言えば、入院時に受けるPCR検査でした。

ここで万一陽性となり、「手術が受けられない」となると、これまでさまざまな準備に骨折って頂いた先生方はもちろんのこと、職場の方や猫の病院の先生、そして一番は夫にも、多大な迷惑をかけてしまうことになります。


そんな不安を抱えつつ、とうとう迎えた入院当日。

13:10
あいにくの雨模様。荷物も多いため、タクシーで病院へ向かうことに。
前述のとおり、立会・付添は無いため一人です。
不安を抱えつつの入院です。

そして夫は夫で、おそらく私のことが心配でならなかったでしょうし、これから始まる猫との2人3脚の生活に対し、不安も大きかったことと思われます。
お互いに励まし合いながら、しばしのお別れです。

病院へ到着。入院手続きへ

13:40
思ったよりも早く、病院へ到着。

道中、夫から猫の写真がLINEで送られてきました。
もちろん猫は私の不在にまだ気付いた様子もなく、夫のお腹のうえでのびのびと眠っており、ちょっと和みました。

病院からは、14時までに来るように言われていたのですが、「ちょっと早めに着いてしまい、申し訳ないのですが・・」と伝えつつ、受付で入院手続きをしました。

検温し、発熱が無いことを確認してから、各種書類を提出し、保証金を入金します。
クレジットカードでOKでした。
保険証と病院の診察券、そして限度額適用認定証を提示し、無事に入院手続き完了です。

13:50
入院するフロアへ移動し、しばしロビー的な場所で待ちます。
どうやら、同じフロアで同じ時間帯に、4~5人まとめて入院手続きをするようです。
ロビーには大荷物を抱えた、不安そうな顔がいくつも並んでいました。

ただ、このロビーでは、婦人科とおぼしき方々だけではなく、妊婦さんや新生児を抱っこしたお母さんも、同じように待っていらっしゃいました。
同じフロアで、管理入院?とか、新生児の検診などがあるのでしょうか。
ふと、「お互い、同じ場所で待つというのは、気詰まりだという方もいらっしゃるのではないかな・・?」と、思いました。

また、入院中も、同じフロア内は婦人科の患者だけ、というわけではありませんでした。
上記のとおり、管理入院?とおぼしき妊婦さんもいらっしゃいましたし、ナースステーション横には新生児室もありました。
時には新生児の泣き声が響き渡ることもあり、私自身はまったく気にはなりませんでしたが、気になる方はいらっしゃるかもしれないな、と思いました。

14:10~
全員がそろったところで、順次PCR検査がおこなわれました。
前述のとおり、ここで万一陽性となってしまうと、すべてが水の泡となるため、祈るような思いで検査を受けました。
結果が出るまで、またみなさんお互いに無言のままで、30分ほど待ちます。

ここで「陰性です」と告げられたわけではありませんでしたが、そのあと順次、それぞれの病室へと案内されていきました。
「あれ?陰性ってことで良いんですよね・・?」と、ちょっと不安に。

まさかの個室!

15:00
恐縮なことに、案内して下さった事務の方が、荷物を病室まで運んで下さいました。
何とびっくりなことに、まさかの個室です!

病室には、

  • 洗面台(大きな鏡、コップ、ハンドソープあり)
  • クローゼットにハンガー4本
  • ミニ冷蔵庫
  • ティッシュ1箱
  • テレビ(プリペイドカード式ではなく、無料で見られる)
  • 鍵のかけられる、セーフティーボックス(大きな引き出し一つ分)
  • ベッドから見える場所に、アナログ時計
  • 自分で温度や風量、風向が自由に調節できる、エアコン

という、ホテルに匹敵するくらいの、何とも至れり尽くせりな設備です。

また、おそらくストレッチャーが入るためだと思われますが、病室へ入った時の通路の幅も、かなり余裕があります。
したがって、部屋全体の広さも、ビジネスホテルより広めです。

さらに、洗濯機コーナーには、乾燥までできるドラム式洗濯機(洗剤も備え付き)が。
しかも無料!

しかし、この時点で、持ってこなくても良かったものが、既にいくつも判明しました。

  • ティッシュ
    (1箱まるまる備え付けがあったため、自分で持ってくる必要は無かった)
    ⇒退院する時の荷物を減らすべく、結局は、自分で持ってきた方のティッシュを使うようにしましたが・・。
  • はおりもの
    (自分で病室内の温度が調節できるため、不要だった。廊下も十分あたたかいです)
  • イヤホン
    (もともとテレビ番組はテレビではなく、手元のスマホのTverで見ようとは思っていたが、そもそも個室だったため、イヤホンは不要だった)
  • 洗濯バサミ
    (備え付きのドラム式洗濯機で乾燥までできるため、病室内で洗濯物を干す必要が無い)
  • オキシクリーン
    (洗剤も備え付きだったため、不要だった)
  • 置き時計
    (病室内に見やすい時計があったため、不要だった)

少々ショックを受けましたが、「入院中も快適に過ごせそうで、何ともありがたい話だ」と、気持ちを入れ替えることにしました。

しばし個室の設備に感激していると、「パジャマへ着替えて検温をしたら、ナースコールを押すように」とのアナウンスが。
(新型コロナウイルス対策なのでしょうか?、体温計は共用ではなく、部屋に備え付けのものがありました)

看護師さんと

15:10
パジャマへ着替え、検温。
ナースコールを押して準備が整った旨を伝えると、ほどなく看護師さんがいらっしゃいました。
(ナースコールは、押すとナースステーション側で音が鳴るだけではなく、インターホンのようになっており、お互いに話すことができるようになっていました)

氏名・生年月日・血液型などに、間違いが無いことを指差し確認。
その後、右手首に氏名と血液型が書かれたバンドを巻かれます。
「これが外せる時が、退院の時だからね!」と伝えられ、ちょっと身が引き締まる思いです。

検温・血圧・血中酸素濃度(指先にクリップ状の計測装置を付ける)などの一連の記録がおこなわれると、そのあとは、噂には聞いていた、手術場所周りの剃毛です。
「こんなことをさせてしまって、申し訳ない限りです・・」と思いつつも、極めて事務的におこなって頂いたことで、気は晴れました。
(毛が散らばらないよう、あらかじめテープで周りを養生されたうえで、バリカンで、見える範囲の毛がばりばりと刈られました)

また、検温などをしている途中で、提出した問診票を見ながら、既往歴の確認。
その際に、「いつから、どんな薬を飲んでいるか?」を詳細に質問され、少々焦りました。

ずっとこの同じ病院へかかっているので、病院側でも分かりそうなものでは?とも思いましたが、間違いがあってもいけないですものね。
認識の相違を防ぐためにも、患者側に答えさせることが重要なのだな、と感じました。
また、「おくすり手帳を持ってきて、良かった!」と思った瞬間でした。

そのあとは、今後のスケジュールのチェック。
下剤を飲むタイミングや、翌日の術着への着替えや点滴のタイミングなどについて、説明がありました。
この時点で、翌日の手術は13:30からと知らされました。

余談ですが、このスケジュールチェックの際、前回の診察の際に渡されていた「予定表(正確には、「入院診療計画書」という書類)は持ってきた?」と聞かれました。
この予定表とは、『手術前日の○時に下剤を飲み、手術当日は○時から点滴をし、翌日は尿の管が取れたら歩行をし・・』という、「毎日の処置内容や回復目標について」が一覧になった表です。

当日の持ち物としては、特に明記はありませんでした。
あらかじめ、なぜか同じ内容の表が2枚渡されていたため、予備なのかな?と思い、1枚は手元に持ってきていましたが、もう1枚は家族が見られる用に自宅へ置いてきていました。

その旨を伝えると、何と「2枚のうちの1枚は、ナースステーションで預かる」ということが判明。
なるほど、同じ内容の表が2枚あったのは、そういう意味だったのね・・。
手元に持ってきた方をコピーして頂きましたが、余分な手間をかけてしまいました。

15:30
夫へ電話し、翌日の手術が13:30からに決まったことを伝えたり、個室の設備の充実っぷりについて、ひとしきり語ったりしました。
病院内は、無線LANが整備されていましたが、LINEのビデオ通話をすると、さすがに途切れ途切れに。
時間帯にも、よるのかもしれません。
通常の音声のみの通話や、アプリの使用などには問題はなく、ありがたい環境でした。

16:00
このあとも、入れ替わり立ち替わり、何人か看護師さんがいらっしゃいました。
夜の担当の看護師さんからも、丁寧なご挨拶がありました。
前後して、追加で、以下の説明がありました。

  • シャワー室の予約の仕方
  • 手術室へ向かう際、セーフティーボックスの鍵は、ナースステーションで預かる
  • 手術後は、先生から夫へ連絡が行く
  • PCR検査の結果(紙でもらいました)

などなど。

セーフティーボックスの鍵については、

私

そうなると、手術後しばらくは、セーフティーボックスに入れたスマホは、手に取れないな。家族に連絡が取れないな

ということが、頭をよぎりました。

が、手術後は先生から夫へ連絡して頂けるそうでしたし、どのみち手術直後で身動きできない状況では、しばらく自分から連絡が取れないことについては、致し方ないな、と思いました。

また、看護師さんから「手術室までは、眼鏡はして行きますよね?手術室で外してもらって、ナースステーションで預かりますね」と言われ、この時は「お願いします」と答えたのですが、のちほど、また別の看護師さんからも、なぜか同じ質問をされました。

面倒がないほうが良いかと思い、結局手術室へ向かう際は、眼鏡はして行かず、セーフティーボックスの中へ入れておくことにしました。

その後、夜ご飯までの間は、

  • 職場へ、PCR検査の結果報告
  • 持ってきた荷物の荷ほどき
  • フロア内の探索(シャワー室や洗濯機、飲み物の自動販売機がどこにあるか)
  • 着てきた服の洗濯

などをして、過ごしました。

病室内は、収納もかなり充実していました。
クローゼット内が何枚もの棚板で仕切られているため、荷物の分類も自由自在。
スーツケースやトートバッグも、床へ放置することなく、クローゼット内へしまっておける広さです。

シャワー室は、ストレッチャーに横になったまま入れる広さのところもあり、びっくり。
入院のしおりのとおり、シャンプー、リンス、ボディソープは備え付けがあり、ドライヤーも設置されていました。

また、さっそく着てきた服を、ドラム式洗濯機で洗濯+乾燥してみました。
実は、乾燥までできるドラム式洗濯機を使うのは、これが初めてだったりします(自宅はずっと縦型洗濯機ですし、アメリカでは、ドラム式ではありましたが、洗濯機と乾燥機は別々でした)。

備え付けの洗剤を入れて、スタートボタン1つ押して、2時間ほど待つだけで、乾燥まで自動でやってもらえます。
文明の利器は、すごいですね・・。
洗濯物がふんわりと仕上がり、大いに感激しました。
少々湿っぽくはありましたが、ハンガーへかけておけば、問題なくすぐに乾きました。

飲み物は、体を動かしがてら、毎日水のペットボトルを1本、自動販売機まで買いに行くことにしました。
病室内に備え付けの冷蔵庫があるため、買ってきた飲み物も何本か入れておけるというありがたさです。

夜ご飯に感激

18:00
待ちに待った(?)夜ご飯です。
前述のとおり、こちらの病院は、かなりご飯に力を入れているようだったので、食事の時間が楽しみでした。
このあとは、おそらく丸一日は絶食となるので、否が応でも夜ご飯への期待が高まります。

この日のメニューは、何と肉豆腐!
そのうえ、茶碗蒸しに具沢山の味噌汁、デザートに果物まで付いた、何とも豪華な食事でした。
もちろん完食です。
(毎日煮物ばかりで、何を食べても同じ味(うす~い煮物の味)しかしなかった、あの時の病院は何だったんだ・・)

18:40
夜ご飯後に、なぜか再び血圧計測。
ハキハキとした看護師さんが、「あら?あなたはさっき血圧測って、大丈夫だったんだわ~。でも、もう1回測っとくね!」と言いながら、あっという間に去って行きました(笑)

あとで見てみると、どうやら同じフロアに、同じ名字の方が複数いる様子・・。
「間違って2回採血」とかだとちょっと嫌ですが、血圧くらいなら無問題です。

18:50
夜ご飯の後は、歯みがきをして、試しにベッドのリクライニングを上げてみました。

ベッドは、自分で好きにリクライニングができるように、手元にリモコンが付いています。
ベッド自体の高さを上下に動かしたり、上半身だけ・足元だけを上げたりといったことも自由に電動で調節できます。
手術直後に身動きできない時や、姿勢を変えたい時などに重宝しました。

また、少しでも体を動かした方が良いかと思い、スクワットや体操をしながら、Tverでテレビ番組を見ました。
Tverは、たまに途中で途切れたりもしましたが、問題なく見ることができました。
せっかく夫に用意してもらったので、ノイズキャンセリング機能付きのヘッドホンも使ってみましたが、こちらも問題なく使用できました。
夫も同じタイミングで同じ番組を見てくれており、感想を言い合いながら見れたのが良かったです。

合間合間に、猫の様子がLINEで送られてきました。
猫はごくごく普通の生活を送っていたようです。
あまり寂しがっている様子が無いのが、良いのか悪いのか・・。
夫の手により、夜の薬も問題なく投与できたそうで、安心しました。

シャワーは、翌日の朝一に予約をしたので、あとはもうやることがありません。

就寝

21:00
指定された時間に、渡されていた下剤を飲みました。

21:30
横になってばかりだと、体がバキバキになりそうだったので、体を動かそうとストレッチをしていると、夜担当の看護師さんがいらっしゃいました。

就寝前の検温です。
昼間と同様、 検温・血圧・血中酸素濃度の計測をし、改めて翌日のスケジュールについて確認をしました。

22:00
就寝。
眠れない、ということもなく、実によく眠れました。

翌日は、いよいよ手術当日です。


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