第1章 手術に至るまで(4)(子宮全摘手術を決断)

第1章 手術に至るまで

今年(2021年)3月、久しぶりに受けたエコーで、子宮筋腫が一回り大きくなっていることが判明。
先生からは「手術をすることも念頭に置いて、ご家族と話し合ってみて下さい」と言われ、その日は帰宅しました。

2021年4月:手術の是非について考える

私の職場は、年度末の周辺の1~4月あたりが、最も忙しくなります。
その繁忙期が落ち着いた頃、手術の是非について考えてみました。

とは言え、自分の中では既に、「手術」の方向での結論が出ていたように思います。

前述のとおり、今のままジエノゲスト錠を飲み続けて、症状を抑えることはできたとしても、子宮筋腫自体が小さくなることはありません。
「遅かれ早かれ、手術で摘出する必要があるだろう」と考えました。

また、手術となると、自分の場合は、筋腫だけを摘出する「核出術」ではなく、子宮全体を摘出する「全摘術」になるだろう、と予想していました。

それは、以下のように考えたからです。

  • 筋腫の数や大きさから行くと、核出術は難しいのではないか
  • 核出術をしても、いずれまた再発するのではないか
  • 自分の中では、積極的に子どもを望んでいるわけではない

子宮全体を摘出すると、当然ではありますが、子どもを産むことはできなくなります。
夫との子どもを持てないことや、両親に孫の顔を見せることができないことは申し訳なくはありましたが、

  • 「体力のあるうちに手術をし、QOLを上げて、夫と猫と3人で穏やかに暮らしていく」という道を選んでも、良いのではないだろうか?
  • 自分の体のことを優先しても、良いのではないだろうか?

と考えました。

夫に相談したところ、ありがたいことに、私の思いを尊重してくれました。

今後の一番の願いは、私の思いを尊重してくれた夫と、励みになってくれた猫のことを最優先にして、穏やかに暮らしていくことです。


おそらく、子宮筋腫との付き合いで多くの方が迷われるのは、「手術をするか否か」よりも、「子宮を温存するかどうか」ということなのではないでしょうか。

そういった意味では、私の場合はかなりあっさりと、子宮全摘を決めてしまったようにも思われるかと思います(母にもびっくりされました)。

もちろん、

  • 年齢
  • お子さんの有無
  • 将来的に妊娠を希望するか否か
  • 入院中に仕事をどれだけ休めるか
  • 費用

などなど、それぞれの方が置かれている状況はさまざまだと思われます。
ですので、一概に「全摘が良い」もしくは「いやいや、手術はせずにホルモン療法が良い」などとは言えないと思います。

今まさに、治療方針や手術の是非について迷われている方。
月並みかもしれませんが、主治医の先生やご家族と相談されつつ、ご自身が納得された道を選択されると良いのではないか、と感じました。

個人的には、

  • 熟慮の上での決断であれば、周りの誰が何と言おうと、自分を責めたり後悔したりする必要は、まったくない
  • 自分の体を大切にするのが、一番だ

と考えます。
(あまり私のケースは、参考にはならないかもしれませんが・・)

2021年5月:手術を決意。再度血液検査とMRI検査へ

手術を決断したものの、

  • いつ手術ができる?(自分の仕事や、新型コロナウイルスの影響が気にかかりました)
  • 入院期間は?

などなど、まだまだ疑問は山積みです。

5月に診察で訪れた際、主治医の先生にこれらの疑問をぶつけてみました。
メモ帳に箇条書きで質問を準備していきましたが、いざ質問するとなると、かなりの駆け足でした。

以下、質問した内容です。

私

手術はせずに、このままジエノゲスト錠だけで、閉経まで持って行くことはできないでしょうか?

先生
先生

左卵巣の子宮内膜症については、薬である程度は症状を抑えることができるかもしれませんが、今後のがん化の可能性は否めません。
また、子宮筋腫については、薬で筋腫そのものを小さくすることはできないため、年齢的なこと(閉経までの期間)を考えても、根治を希望されるのであれば、手術での摘出となります。

ダメ元で、逃げ込みの可能性について質問してみましたが、結果はやはり「根治のためには手術」という回答でした。


そうなると、次に気になるのは手術の時期です。

私

手術となると、いつ頃に手術ができますか?
私の仕事が、年度末の周辺の1~4月あたりに最も忙しくなるため、その時期はできれば避けたいと思っています。

先生
先生

手術までに、少しでも筋腫を小さくするための措置(後述の、リュープリン注射)をおこないます。
それが3か月~最大6か月はかかるので、手術は11月くらいになるのではないでしょうか。

半年後の11月。
遠いようで、あっという間に来るような気がします。

11月中に手術ができれば、仕事への影響も最低限で抑えられそうです(もちろん、同僚に迷惑を掛けることに変わりはありませんが)。


さらに気になるのは、新型コロナウイルスの影響。
ちょうどこの頃は、3回目の緊急事態宣言中でした。

私

コロナ禍の状況でも、手術はできるのでしょうか?

先生
先生

問題なく手術はおこなえます。
ただ、入院期間中のご家族の立会や付添、面会などはいっさいお断りしています。

コロナ禍の状況で、緊急性が高い手術ではないにもかかわらず、手術をして頂けるということで、本当にありがたい限りでした。

面会については、私自身とある事情により、コロナ禍とは関係なく、夫やそれぞれの両親に病院まで来てもらうことが難しいということもあり、「面会がかなわないのは致し方ないな」と思っていました。

が、病院として「絶対に家族が病院へ来てはいけない」と禁止しているわけではなかったようです。
実際、受付を通しての荷物の受け渡しや、入退院時の付添については、制限はなかったようです(マスクや検温の必要はありましたが)。

私自身は、上記事情により「入院期間中の荷物の受け渡しは無し」「入退院時の付添は無く、常に自分一人」だったため、すべての荷物を自分で持って行く必要がありました。
ですが、行き帰りはタクシーを使いましたし、何ら問題はありませんでした。

また、面会はできたとしても、術後はお互い気を遣うでしょうし、後述しますが、個室で無線LAN環境もあり、気兼ねなく夫とメッセージのやり取りや通話ができる状況にあったため、面会はできなくても苦にはなりませんでした。

このあたりは、病院によっても対応がさまざまだと思われます。
また、当日持って行く荷物の量や内容にも影響するところですので、面会の可否については事前に病院へ確認してみることをおすすめします。


そして次に気になったのは、手術や麻酔の説明・同意書についてです。

私

事情があり、家族が病院へ来ることが難しいです。
手術や麻酔の説明は、家族同席でなくても良いでしょうか?

先生
先生

あなたにすべて説明するので、大丈夫です。

本当にこのような、シンプルな回答でした(笑)。

実際のところ、この点がかなり気がかりでした。
もし先生に「家族に病院へ来てもらって、対面で説明した上で同意書を書いてもらわないと、手術ができない」と言われたら、どうしよう・・と気負って質問したのですが、まったくの取り越し苦労でした。

後述しますが、手術や麻酔の内容の説明については、私自身は先生と対面でおこないました。
夫へは、その後私から口頭で説明しました。

同意書についても、手術前に家族に記入してもらうように指示がありましたが、書類自体を持ち帰ることができました。
そのため、自宅で夫に記入してもらえば良かったので、まったく問題ありませんでした。


最後に、薬についてです。

私

今飲んでいるジエノゲスト錠は、手術まで、このまま飲み続けても良いのでしょうか?

先生
先生

これから再び血液検査とMRI検査をおこなうので、その結果次第ではあります。
が、いったん飲み続けるのでOKです。

かなりいろいろ質問したような気がしていましたが、肝心の

  • 入院期間
  • 事前に自分で用意する必要があるもの

などについては、聞けずじまいでした。
足りないところは、次回以降の診察で追い追い質問していくことにしました。

MRI検査は、前回1年半ほど前に受けた時と同じ、専門の検査クリニックにて受けました。
費用は約8700円でした(検査結果の郵送費も含む)。

2021年6月:手術が11月に決定

血液検査とMRI検査の結果を待って、6月に再度診察に訪れました。
内診とエコーの結果もあわせると、以下のとおりでした。

  • ジエノゲスト錠の効能により、卵巣の腫瘍マーカーの数値は下がっている。
    子宮内膜症のある左卵巣の大きさも、小さくなっている。
    • CA19-9 :前回25.1 ⇒ 今回 4.3(基準値:37.0以下)
    • CA125  :前回46.9 ⇒ 今回21.6(基準値:35.0以下)
  • が、子宮筋腫は、筋層内と漿膜下に(見えているだけでも)5cm大が3個、2cm大が5~6個はある。
    • 前回(約1年半前)の画像と比べると、さらに大きさが大きくなっている。
    • 小さなものも含めると、以前より数も増えている(多発性子宮筋腫)。

先生によると、

  • 骨盤内が筋腫で埋め尽くされている
  • 筋腫により骨盤が圧迫されて、骨盤自体が変形しているようにも見える

そうです。

MRIの画像を見ると、シャボン液をストローでぶくぶくしたように、黒いかたまりが無数に散らばっており、ぞっとしました。

「5cm大が3個、2cm大が5~6個」って・・。
骨盤や腸はどうなってるんでしょう。

これは、もはや筋腫だけを摘出する「核出術」 はできないだろう、 子宮全体を摘出するしかない、と改めて腹をくくりました。


先生へ手術の意向を伝えると、改めて手術の内容ややり方について、詳しく説明して下さいました。
前回聞けずじまいだった内容も含め、追加で質問してみました。

まずは、術式についてです。

私

手術となると、開腹手術でしょうか?
それとも、腹腔鏡手術でしょうか?

先生
先生

あなたの場合は、「子宮筋腫の数と大きさ」「経産婦ではない」という点から、腹腔鏡手術は難しいです。
したがって、開腹手術となります。

仕事復帰のことを考えると、回復までの期間がより短い腹腔鏡手術のほうが望ましかったのですが、

  • 腹腔鏡手術の場合、筋腫が大きいと、摘出物を膣から取り出す必要がある
  • かつそれは、経産婦でないと難しい

という理由から、残念ながら開腹手術となりました。


次は、手術の内容についてです。

私

手術では、何をどこまで摘出しますか?

先生
先生

子宮は全摘です。
子宮内膜症がある左卵巣についても、今後のがん化の可能性を鑑みると、摘出をおすすめします。
したがって、「子宮全体+左卵巣+左右の卵管」を摘出する手術になります。
が、問題のない右卵巣は温存するため、更年期症状はまだ抑えられると思われます。

とのこと。

薬の副作用としての更年期症状はまだ経験していなかったため、それがどのようなものかは想像できませんでしたが、右卵巣が残るというのはありがたいです。


最後は、入院期間と仕事復帰の時期についてです。

私

開腹手術だと、入院期間はどれくらいになりますか?

先生
先生

一般的には、1週間ほど。
術後の回復具合によります。

私

仕事復帰はいつくらいになるでしょうか?

先生
先生

仕事の内容にもよりますが、早くて手術2週間後くらいでしょうか。
必要あれば、1か月くらいでも診断書は出せますよ。

とのこと。
開腹手術でも、思っていたよりも早く退院・復帰できるようで、安心しました。


前回の診察の際に挙げられていた、「手術までに筋腫を小さくするための措置」については、

  • 点鼻薬
  • 注射

という、2つの選択肢が示されました。

「点鼻薬は毎日施す必要があり、注射は4週間に1度で良い」ということだったので、あまり迷わずに注射(リュープリン注射)を選びました。

調べてみると、リュープリン注射はやはり子宮筋腫の手術前に、一時的に筋腫を小さくするための措置として、よく取られる方法のようです。

あくまで「一時的に」と記したのは、やはり「恒久的に筋腫を小さくする方法」というのは存在しないらしく、また、点鼻薬にしても注射にしても、副作用として骨量の減少が懸念されるため、最大6か月の使用が限度だからだそうです。

また、リュープリン注射は偽閉経作用があるため、「更年期症状が現れる可能性がある」とも言われました。
「あまりにも症状が酷い場合は、手術を早めるかもしれない」とのことでしたが、リュープリン注射と先生のスケジュールを鑑みて、

先生
先生

手術の時期は早くて8月、順当に行けば11月ですね。

ということで、11月上旬に手術の仮予約となりました。

2021年6月~:リュープリン注射を開始

リュープリン注射は、4週間ごとに、計6回注射を打ちます。

注射自体は、それほど痛くはありません。
採血やインフルエンザの予防接種などと、あまり変わらない感じです。

打つ場所は、予防接種などで打つ場所よりもやや下方(ひじの5cmほど上くらい)。
注射の際は、打ちやすいように、ひじを突き出した状態で待ちます。

注射後は、腫れたり痛みを伴ったりはしませんでしたが、若干ぷくっとしたしこり状のものが毎回残りました。
1回ごとに、左右を打ち分けました(前回左腕であれば、今回は右腕、といったふうに)。

タイミング的に、新型コロナウイルスのワクチン接種(2回目)を翌日に控えた日に、リュープリン注射を打ったこともあったのですが、特に問題はありませんでした(新型コロナのワクチンの方は、しっかり副反応が出ましたが・・)。
同じ腕に打つので無ければ、大丈夫だと思われます。

後述しますが、念のため先生にワクチン接種予定があることについて伝えたところ、「リュープリン注射を打っている期間中でも、新型コロナウイルスのワクチンは問題なく打って良い」との回答でした。

リュープリン注射について、心配された副作用については、最初の2~3回は「ほてり」や「急な発汗」のような、更年期症状に似た症状が出ました。
が、耐えられないほどではなかったので、そのまま4週間ごとの注射を続けました。

リュープリン注射を始めたことにより、偽閉経状態となったため、ジエノゲスト錠の服用については終了となりました。
ジエノゲスト錠を飲み始めて以降、生理が無い状態が続いていましたが、今回子宮全摘手術を決意したことで、「もう生理が来ることはないんだな・・」と思うと、嬉しくもあり、悲しくもあり、何とも言えない複雑な気持ちになりました。

いよいよ手術に向けて、さまざまなことが動き始めました。
この後は、「第2章 入院準備(1)」へ続きます。


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